レンドフルール感想 ★★★☆☆
誓え。愛を、忠誠を――――。
公式サイト:http://www.otomate.jp/reinedesfleurs/
あらすじ
かつて、滅びかけた世界に手を差し伸べた、ひとりの女神がいた。女神は彼女に従う4人の騎士たちと共に、荒れた地を癒し、摩耗した命を育む力【グラース】によって世界を救った。以後、眠りについた女神の意思は、女神の依代【レーヌ】と、地上より選ばれた4人の騎士たちによって受け継がれ、世界は女神の恩寵を受けながら発展を遂げていく。
しかし、ある時を境に、代々受け継がれていたレーヌが空座となる。グラースの供給は滞り、世界は再び闇に包まれようとしていた。そしてようやく誕生したのが、次代のレーヌ――ヴィオレット。
彼女は慣例に従い、女王の騎士となる4人の騎士たちを選出する。しかし、長い空座の影響か、彼らの心はレーヌとの絆を拒んでいた。
世界にグラースを供給するには、騎士たちの協力が不可欠である。ヴィオレットは彼らの信頼と忠誠を得るため、動き出す――
(公式サイトより)
こんな感じで攻略対象である騎士たちと親睦?を深めて行くゲームです。前半共通ルート。中盤から攻略対象ごとの個別ルートへ分岐という、乙女ゲームあるあるな構成。
特徴は「ラヴィール」という時間制限有り選択肢でルートが決定する点。このシステム、周回には不向きでした。初プレイ時は選択肢を決定時の葛藤や焦りが感じられて良いのですが、プレイ時間が長くなるにつれ、死んだ魚の目になること請け合い。BAD回収疲れました・・
EDはおおまかに分けて「愛情」「忠誠」「数多くのバッドED」の3パターン。
~~~感想めちゃくちゃ長いです。すみません。7000字オーバー。お時間があるときに暇つぶし程度に見ていただけたら幸いです~~~~
感想(ネタバレなし)
管理人の攻略順は「レオン→ギスラン→オルフェ→ルイ→ユベール」。
初回うっかりオルフェに行きかけ、公式の推奨が「最初はレオンで!」だったのを思い出したのでレオンルートへ。
これが壮絶な死闘の始まりだとは誰も想像していなかった・・
結論から言うと「満足はしていないが納得はした。だから満足し・・た・とは言いたくない!」な作品でした。なんだこれ。言ってて自分でも意味がわからないぞw
レオン&ギスラン攻略後の感想は、正直に言って「なにこの胸糞ゲー。ひどい。あんまりだ。時間を無駄にした」でした。
キャラクターは良いんですよ。音楽も、スチルは極上。テーマも良い。設定も凝ってるし、へんなバグも無い。良ゲーム。なのに、なのに乙女ゲームとして致命的に何かがおかしい。
(「人を選ぶゲームだ」とアマゾンのレビューで散々見て、覚悟を決めてからプレイしてもこれです。発売当初、予備知識もなくプレイした先輩方の葛藤はいかほどのものであったか・・・。いま感想を書きながら戦々恐々たる思いでいます。合掌)
あまりの展開に心折れそうになりながらもプレイを続行。オルフェ愛情EDあたりで「ようやく乙女ゲーっぽいEDにありつけた」と謎の感動を覚えました。ルイの意外な話の展開に(ようやく)ワクワクしはじめ、ユベールルートで妙に納得してこのゲームを終えました。
ルイとユベールルートは普通に面白かったです。謎は解けた。オルフェには時折見せるいたずらな魅力にドキドキさせられた。ギスランの慟哭と忠誠(あとデレのかわいさ)にはぐっと来た。レオンは本当にいいやつ。馬鹿なところも含めていいやつ。空気よめないけどいい奴。
でもね。やっぱり引っかかるんですよ。
これ、商業ゲームなんです。8000円近く(年々ゲームソフトって高くなりますね。PS2時代はまだ良かった)出して「乙女ゲーム」を買って、これはなんか違う、と思ってしまう。たぶん「ノベルゲーム」なら良かった。もしくは小説。「乙女ゲーム」だと思ったから、わたしはダメだった。
あと乙女ゲームとして成り立たせるにはシナリオが不足していたように思います。特に共通ルート。これ以上はネタバレになるので、ネタバレ感想で書きますね。
真相を知って、最終的には納得したし、プレイしなければ良かったとは思わない。こうして長々と感想を書くぐらいには、何だかんだ言って楽しめましたし。
(ちなみにルイが好きです。ああいううさんくさいキャラは普段は苦手なので意外でした。でも、ワンドのときも意外なキャラクターを好きになったので、いわたPさんマジックだと思えば納得)
でもでも、やっぱり未プレイの方にこのゲームを紹介するとしたら「人を選ぶゲームだから自己責任で!本当に自己責任で!」&「乙女ゲーと思うな。ノベルゲーと思え」と忠告すると思います。
音楽とフルカラー挿絵の小説買ったと思えば、面白かったです。胸糞はあったけど^^;
<良かった点>
・イラスト:さすがの薄葉さんクオリティ。美麗なイラストにうっとりドキドキ眼福で幸せでした。
・音楽。主題歌、ED曲、BGM:ともに世界観にマッチしゲームを盛り上げていた。しかしラヴィールに使われるSE音。お前だけは絶対に許さない。特に後半。
・キャラクター:わんこ、たらし、ツンデレ、癒し、黒幕?と言葉にすると安っぽくなりますが、接してみるとしみじみ「良いやつらだな・・・」と思える魅力的なキャラクターたちでした。サブキャラもいい。このあたりはさすがワンドを作ったディレクターだなと思いました。(だからこそ。ワンドを知ってるからこそ、どうしてこうなったorzと絶望が深くなるのですが。)いや商業作品の乙女ゲームだからだいぶ踏みとどまったなぁとも思いました。良くも悪くも問題作。購入者が求めていた内容ではなく、作り手が表現したかった世界観をドンと押し付けられた気分です。
<残念だった点>
悪かった点、ではなく「残念だった点」にした意味を汲んでくださるとうれしい。
・一部キャラクターのシナリオ。無理やり悲恋にしたて上げているような気がした。
・バッドEDの多さ。不要なバッドEDが多かったように思う。
・ヒロインの人間性の表現:悲恋に酔ってるような印象が随所で見られた。真相を知って納得はしたが、乙女ゲームにおけるヒロインってすごく重要だから、この作品はやっぱり乙女ゲームじゃないのだろうなと思った。
・ラヴィールめんどくなる。タイムアタックはいらない。
・周回多いのだから「シーンスキップ」ぐらいはあってほしかった。特に間章。
・FD前提でシナリオ間引いたか?と疑惑を感じてしまう内容があった点。
(以下、ネタバレ有り感想です。念のため下げます)
ヒロインに厳しい内容です。ヴィオレットが好きな人は逃げてください。
感想(ネタバレあり)
ユベールルートで明かされる真相。ヴィオレットは女神の「恋情」を元に作られた花人である、という真実。
これを知り、レオン・ギスランルートでヴィオレットが唐突に「恋のためなら全てを破壊&殺してもかまわない」というトンデモ思考に至ったことに納得がいきました。ユベール服従EDで狂った理由も。種人が、蝶が、花人がぼろぼろ死んでるのに、やれ茶会だ、読書だ、花を愛でよう散歩だ、あの人はどう思ってるのかしら?などと恋愛脳してた原因も(無理やりですが)納得しました。
しかしいくらでも魅力的なヒロインがいるこのご時勢。この界隈では、ヴィオレットはヒロインとしては物足りない、と個人的には思いました(尊敬できるような魅力的なヒロインが好きなので)
もっと知性やら工夫やらガッツをみせて欲しかった。
グラース不足をどうにかするという問題は、女神すら目を背けていた案件なので女神のかけらから作られたヴィオレットも女神に引きずられて無意識に考えたくなかったのか?と思ったりもしましたが・・・。納得はしても、満足はできない印象でした。
以下、各キャラクターごとの感想。
レオン-自由と破壊の騎士-
・ヴィオレットが好きすぎてあほの子かわいい。
・ありのまま=裸
・揚羽との会話がとてもいい。かわいい。お姉ちゃんと馬鹿弟。
・旅慣れてる&どこでも人に好かれるあっけらかんとした性格もいい。
・ヴィオレット好きすぎて一生懸命なのが愛しい。
・外見はオスくさい男前。中身あほの子(ヴィオレット限定)だがそれがいい。
・優しい。いい子。
結論:レオンはあほかわいい(最初に戻った)
しかしシナリオは胸糞・・・。悲しすぎる。FD補完を狙ったのか?邪推してしまうシナリオだった。愛情EDがとにかく気分が悪い。自己満足のきわみ。なのに救済のつもりか、双子蝶が復活するなど、それが逆に胸糞になるという悪循環。レオンのED後のおまけシナリオは怖くてまだ見れていません。
女神と破壊神に体を明け渡して消えてしまうEDが一番しっくりきました。妄想ですが・・・「女神と破壊神が手を尽くし延命したあと滅びる寸前の世界。二人を哀れに思った女神が、せめて最期だけでもと二人を復活させる。世界崩壊までのひと時を二人は幸せに過ごしたのだった」みたいなEDだったら、乙女ゲームとして綺麗に収まったのかな?と思いました(むしろ作者は「綺麗に収めること」をわざと外したのかも、と思ったり。もやもや)
ギスラン-戒めと狂乱の騎士-
・キャラクターデザインが一番好みだった(プレイ前)
・え!?いつレーヌを認めたの!?好きになったの!?
・声優さんの演技が素晴らしかった。牢屋の慟哭のシーンは言わずもがな。ふとした瞬間に語尾がやさしくなるのがすごくいい。きりっとしている演技もいい。派手さは無いが、堅実に上手い仕事をする声優さんだなと今回ファンになりました。
・ツンツンしてキレて妙に子供っぽいところのある人だなーかわいい・・・と思っていたら、狂ってヴィオレットに刃を突きつけるスチルの色気よ。。。薄葉さんありがとう。ありがとう。
・「命令を考えておけ!いいな!」が可愛すぎた。なにこの子かわいい。好き。
・お茶会クッキー事件。
・(プレイ後)性格も含めて、やっぱり好きだわ。で落ち着いた。
結論:好きだ。結婚してくれ。(と言ってギスランにキレられたい)
ギスランは「まずキレる。話はそれからだ」って感じがかわいい子でした。
しかし愛情EDはぽかーん。え、なんで?なんでそうなるの??混乱している間に後日談。詳細は記憶の彼方です。もう一度プレイするほどの気力が残っていないので、時間を置いて、元気が出たらもう一度挑戦してみようと思います。花人大量虐殺&ユベールが殺された以外は(レオンほどは)悪くないEDだったので、これはこれでいい、、のか?と無理やり納得した記憶があります。
彼に関しては、忠誠を誓う&個別ルートへ入る流れが唐突なのが残念でした。(上で共通ルートがもっと欲しかったと言った一番の原因はギスランルートです)2回しか個人的に会って無いのに故郷を滅ぼしてもいいと思うほどのめりこむものなの?なんで??と違和感がすごかった。自家発電における脳内補完必須。
忠誠EDの服の裾に口付けして誓うシーンは絶品。(ED後は「え、なんで?」再びでしたがw)ユベール愛情EDの「拝命した!」がすごく好きです。愛情もいいですが、やはり彼は忠誠を示す姿が一番ぐっとくるなと思いました。
オルフェ-親愛と孤独の騎士-
・たぶん一番好きになると思っていた(プレイ前)
・指きりのシーンがかわいい。鳥籠も月夜も愛情EDも竪琴も。スチルの全てが美しい。ヴィオレットと色の相性がいいから、並ぶとすごく美しく神話みたいに絵になる二人でした。
・鳥籠の「僕だって男の子だから~」がいい。急にそういう男らしさ出してくるのすごくいい。
・恋愛の過程の進め方が、思った以上にさりげなくスマート。かつ結構ぐいぐい来る感じが良かったです。さすが酸いも甘いも見てきたであろう吟遊詩人。あざとい。ちゃっかり。たくましい。
・「ようやく乙女ゲームをしているような気がしてきた」
・この辺、既にプレイヤーの感覚が狂っている。
・鳥籠と竪琴のシーンは癒しでした。ギスランとレオンで擦り切れた心に優しい。
結論:癒しとドキドキをありがとう。
上二人が、とにかく運命に翻弄される内容だったので、ここにきて「新しく生まれた神である」という設定が新鮮でした。花人の犠牲がたくさん出たけど、それはギスランルートで体験済みだったので、全体的にレオンとギスランよりしんどくなかったです。なんでも受け入れてくれて、ヴィオレットを守ろうとがんばるオルフェは癒し。愛情EDの未来を感じさせる終わりを見て、ようやく乙女ゲームらしくなってきた・・とほっとしたのを覚えています。
ルイ-秘密と退廃の騎士-
・面倒くさそう。いけ好かないやつだな(プレイ前)
・(プレイ後)え、好き・・(いわたマジック)
・思えばワンドでも似たような経験をしたような・・・(禿氏とか)
・でも彼とは全く違うキャラクターでしたね。騎士として意外と真面目で誠実な人だった。
・騎士たる本分を果たそうとして、罠でもなんでもなく本心から「真っ先に滅ぼすならカンパニュールにしたらいいよ」と言っていたとは。
・繰り返される生と死。絶望と諦観。憎しみと諦め。その果てに見つけたものに、こっちの方が「良かった!良かったよ!!しあわせになれよ!!」と肩をバンバン叩きたくなるお方でした。
・泣き顔スチルが本当にお美しい。綺麗なだけじゃなくて。これまでの過程を思うと胸に来るものがあります。
結論:管理人はルイ押しです(予想外)
いや、本当にこういう言葉遊びが好きなキャラは好きじゃないのですよ。面倒くさい。なんとかバロの時もうぜぇと思いながら愛でてました。あれはあれで面白かったし最後は「ざまぁw」して好きなキャラではありますが、最押しは別のキャラクターでしたので。
「強く望んだことが無いんだ。だから、誰かに強く望まれる気持ちが良く分からない。」「その変貌が理解できない。気持ち悪いとすら思う」みたいな。
割り切った関係ならもてるが、自ら進んで望むことはない。身につけた恋愛技術は、ただ恋愛を理解するために努力した結果の産物。なんてさー。あれだけ思わせぶりにしておいてさー。実は恋愛に対して潔癖とかもう本当にお前さぁー!!
煮えたぎる何かがこみ上げてくる次第です。大好きだ。
恋愛に対して潔癖なくせに、都合が悪くなったらごまかす手段が「色仕掛け」。それで相手がごまかされたら「がっかり&つまらない」とか言って失望するくせに。自分から仕掛けておいて、どんだけ自虐的なんだよ!めんどくさいヤツだな馬鹿!でも好き!
語り始めたらきりが無いのでキャラ語りはこの辺でw
シナリオがまさかの「容姿と記憶を保持したまま転生を繰り返している」という、今までに無かった展開。言葉遊びで神すら下してしまうという流れが新鮮で、ワクワクしながら読み進めることができました。序盤のからかい→諦観→ときおりこぼれる葛藤。バッドEDでの自分を信じてくれなかったレーヌへのやるせない感情とか、とても美味しかった。
ED後の幸せになったルイをもっと見たかったです。余裕をなくした彼を堪能したい。上であれだけ酷評してるのに、もしFDが出たら彼のために買ってしまうと思います。こわい。
ユベール-柩と檻の番人-
・杉田か(杉田だな)
・本人ルート以外での株の暴落具合が半端ない。
・狂ってたのか。
・自らの「愛おしい」「守りたい」という感情を元に、双子蝶を生み出したというエピソードにはぐっと来ました。
結論:少年のままでも良かったのよ?
まあそういう訳にはいかないでしょうね笑
いわゆる、真相ルートですね。彼が何者なのか。女神の心の内はなんだったのか、綺麗に分かります。
EDで四蝶の犠牲はありましたが(元々彼らは終わりなき生に諦めを感じていたので、これはこれで救いだったのかも)騎士たちも種人に戻り、それぞれの人生を歩む。ヴィオレットとユベールは元鞘でサブキャラたちも生存、というハッピーEDでした。まさかの逆光源氏計画。
彼の愛情EDでいいなと思ったのは「騎士との絆を感じられたこと」でした。やっぱり騎士が好きだ。レオンの献身も、ルイの親愛も。特に、上でも述べましたがギスランの「拝命した!」が大層好みでした。オルフェの未来を感じさせるやり取りも良かった。
彼を攻略し終えて、このゲームは終了です。
色々しんどい思いをしましたが、プレイして良かった。面白かった、と個人的には思います。
真相を知った上で、最初から共通ルートをプレイする楽しみもできました。この感想を書き終え、ちょっとしたら最初からプレイし直してみたいと思います。(ルイが楽しみでたまらん)
蛇足ですが、わたし、蝶では瑠璃と浅葱ちゃんが大好きです。
成長した瑠璃と茜も見たかったな。
ではまた。別のゲームで!